☆ フローラの部屋 ショートストーリー ☆
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《フローラの一日 〜お目覚めはいつも…〜》

フローラ「くぅ〜〜〜…すぴ〜〜〜」

  美羽「すぅ〜〜〜…すぅぅ〜〜〜…」

  二人の小さな寝息だけが聞こえる静かな朝。
  時刻はもうすぐ5時半になろうかというところ。そろそろフローラの起きる時刻だ。

フローラ「…う、…むン〜〜…ムニャムニャ……くぅ〜〜…」

  モゾリと寝返りをうつフローラは、あまりよくない夢でも見ているのだろうか。何か難しげな表情をしている。
  と、その時…。

  ブルッ…ブルルルルル…。

  フローラのベッドの横に立てかけてあった巨大なハンマーが、細かく振動し始めたかと思うと、まるで何かの意志を持っているかのようにフワリと宙に浮かんだのだ。

  ブルルゥ〜〜ン…。

  振動は加速度を上げ、ハンマーは低い振動音を発しながらフローラの真上へとやってきた。
  そして!

  がん、がん、がんがんがんっ!

  ハンマーがフローラの頭を殴打し始めたのだ!

  がん、がん、がんがんがんっ!

フローラ「ウ〜〜〜ン…」

  しかしフローラは目覚めない。頭を殴打するハンマーを気に掛ける様子もなく寝返りをうつと、モソリと掛け布団を引き上げた。

  がん、がん、がんがんがんっ!

  一方のハンマーは、何かに取り憑かれたかのようにフローラの頭を殴打し続ける!
  その時。

  美羽「…フローラ先生、フローラ先生〜…殴られてますよ〜、起きてください〜…」

フローラ「…む〜〜、うぅ〜〜…」

  美羽「起きてください、フローラ先生〜……殴られてますからぁ〜…」

  ゆさゆさ…。
  がん、がん、がんがんがんっ!

  美羽「フローラ先生、フローラ先生〜〜…頭がぺっちゃんこになっちゃいますよ〜…」

  ゆさゆさ…。
  がん、がん、がんがんがんっ!

  寝ぼけ眼の美羽が揺さぶると、ハンマーの攻撃に抵抗していたフローラがようやく薄目を開けた。

フローラ「ん〜〜?…朝なのぉ?」

  美羽「そうみたいです〜、殴られてますから〜…」

フローラ「ぅぅん〜〜〜…」

  まだ眠そうな様子のフローラは、それでもモソモソと上体を起こした。その間も、もちろんハンマーはひたすらにフローラを殴り続けていた。

フローラ「んん〜〜〜〜っ、ふぅ…おはよう…」

  その瞬間、ピタリとハンマーの動きが止まる。そして役目を終えたハンマーは静かにもと立てかけてあった場所へと戻っていった。

  美羽「よかったです〜…」

フローラ「起こしてくれてアリガトね、美羽ちゃん」

  美羽「いえいえ〜、毎朝この時間は心配ですからぁ…はふっ、ふにゃぅ〜〜…」

フローラ「美羽ちゃんはまだ寝てていいわよ。朝ご飯の用意が出来たら起こしに来てあげるから」

  美羽「はひ…よろひくおねはいしまふ〜〜…」

  言葉にならないセリフと共に、美羽はモゾモゾと布団の中に戻っていった。程なくして、やすらかな寝息が部屋に小さく響き始める。

フローラ「さてっと♪ 今日も一日働いちゃうわよ〜ん」

  すっかり目覚めた様子のフローラは、元気よくベッドからポンッと飛び降りた。

フローラ「仕事の前に、まずは朝シャン。爽やかな朝陽が射し込む浴室って、心も清められちゃうのよねぇ♪」

  軽やかな鼻歌を交えつつ着替えなどの身支度を整えると、フローラは寝室をあとにした。

  フローラの1日は、いつもこうして始まる…。(つづく)


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